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胎生種子という繁殖体

マングローブ植物の大きな特徴は、種類には限りがあるが、胎生種子と言う大変わった繁殖体を持っていることである。 普通、花を咲かせる植物は種子によって繁殖し、個体を増やすので、繁殖体は種子である。ところが、マングローブ植物の内、ヒルギ科の種類やアエギアリティス属(イソマツ科)の種類は花が咲いたあと、果実は出来るがその果実の中に種子を作らない。

 

雄しべや雌しべを備えた立派な花を咲かせるのに、なぜ種子が出来ないかと言うと、受粉して出来た胚珠内の胚は、ウメやサクラのような普通の植物の場合、胚と胚乳が一つになって次の新しい植物体を作り出す種子となるが、ヒルギ科の植物の場合は受精して出来た胚が、そのまま発生をはじめて、果実の外側に角を生やしたような格好の担根体をのばしていく。この担根体とは根を作るもととなる器官で、ごく若い植物体の一部である。

 

このように母樹についたまま新しい植物体が出来るところから、これを胎生種子と云う。また種子ではなく母樹についたまま芽を出したものである。というところから胎生芽と呼ぶ場合もある。 胎生種子が見られるのはオヒルギ属、メヒルギ属、ヤエヤマヒルギ属、コヒルギ属の、計4属のヒルギ科の植物とアエギアリティス属のみで、他に胎生種子をつくるものはない。胎生種子の外部形態や内部構造は種類によって色々であるが、本質的にはほぼ同じで、少なくともヒルギ科に関する限り、まったく同じ構造、形態である。ふつう、一つの果実からは一個の、胎生種子がぶら下がる。花が咲いたときに雌しべの内部を顕微鏡で覗いてみると4個ある胚のそれぞれが正常な受粉をするようである。しかし、なぜか4個の内 3個がいつのまにか消えてしまい、1個だけが胎生種子として生長していく。ただ、まれに2~ 3個の胎生種子が1果実からぶら下がっているのを見るが、これは、4個の胚の中の3つが消えずに、 2~ 3個が生長したものである。

 

成熟した胎生種子は、母樹から離れて落下する。落ちた所がちょうどよい泥の状態であればそこに突き刺さって根を出し、てっぺんに若い茎を伸ばし葉を広げていく。しかし、満潮で落下地点の水位が深かった場合は、潮の流れと共にどこかへ運ばれて行く。この時の胎生種子の浮き方は様々で、横になっているもの、また垂直に立ち泳ぎの格好で流されるものなどあるが、この格好が流れ着いた先ででの着地と深い関係があることも究明されている。しかし、この胎生種子は1本の樹に何百と種子をぶら下げるが母樹の世代交代を担うことが出来るのは2~ 3本位と云われる。

 

ランカウイ マングローブ クルーズ